梼原和紙:ロギール・アウテンボーガルト

紙ってすごい繊細だから、みんなオープン、ホッとする (2/3)

オランダ出身のロギールさん。高知でも特に寒い地域である梼原で伝統的な和紙作りと旅館かみこやを運営されています。今の和紙作りが抱えている問題、それとともに自然保全とは何なのか。非常に示唆の多いインタビューです。  (取材日:平成23年2月7日)

和紙とコットンペーパー 二つの伝統がお互いに共存

そうするとやっぱりトロロアオイなんかもご自身で作っていらっしゃるんですか?

そう。ここの近所の方にお願いして作ってもらっている。

それを出来るだけ防腐剤を、、、?

全く使わない。土に入れたり、冷凍したり色々と工夫して。もうなくなったら作らないって。

土に入れたり、冷凍したりって形で。ギリギリまで使って。

何とか。

夏場とかは大変ですね。

夏場は和紙は一切やらない。もう6月からやらない。台風が来ると温度が上がるし干せないから駄目だから。台風が10月半ばまでは、まだ来る可能性はあるから。10月半ばから安定する。天気が良くて朝晩よく冷えるから。じゃあ、作れる。原料は外に出すと冷蔵庫みたいに(笑)作業場の裏が冷蔵庫になるね。で、少しずつ本和紙の方に。

暑い間は、コットンペーパー。オランダの伝統のを作っているので。それはコットンの繊維はそんなに腐らないです。トロロアオイもいらない。だから、オランダの伝統をやりだしてから本当に和紙、良い和紙を作る良い時期、、、悪い時期に無理やり和紙を作らんでも。他のオランダの伝統を借りて。それは夏の間、のりも使わないで。順番に秋になったら和紙に切り替えて。

二つの伝統がお互いに共存して助かって。あとは、和紙だと持つところが良く付いているから、そんなに水に手は入らないね。水は冷たい、冷たいって。確かに水は冷たいけど、コットンペーパーを漉くときは手はモロに水に入るでしょ。氷水でこれやったら、本当に堪らないですね(笑)だからヨーロッパの方は、、、。誰も言わんけど、やってみると水が温い方が良いね。ヨーロッパは暖めるの、水を。とんでもないことね。和紙から考えたら。それは理由は違うね。水が早く網を通るために暖めている。あと、手も全然違うね(笑)氷水でやるのか、10℃だったらできるから。

それを見つけて、自分の中にオランダの伝統が流れている部分と。すごい嬉しかったね。

三椏を蒸し上げているところ

ちょうど両方が補う形で。

そうなんです。そうなんです。

いま和紙を漉いている人に「和紙って何ですか?」って聞いたとき答えられない人が多い。それはなぜかといったら、地元のものを使わないで、土佐だったり。まだ土佐とか国産のものだったら良いけどフィリピンとかタイとか。それで化学ネリを使って、紙パルプだって入れちゃう。そして機械漉きでやっている人が沢山いる。じゃあ「和紙って何なの?」ってなったときに誰も胸を張って答えられる人がいなくなっているのが現状だと思っているんですよ。

取材する中で、よく言っているんですが、どういった名前にするのかわからないのですけど、「本手漉き」とかいった形で厳しい基準を作っちゃった方が良いのじゃないかって言っているんですよ。そうすると和紙の本来はこれです。値段が安くなっているのはこういう理由があるからですよ、て。だけど上の基準がないからお客さんが「じゃあ、安いのでいいや」って行っちゃっているわけですよ。本来これなんだよって大命題をきちっと出すことだと思うんですよ。

恐らく、その落とし所となるのは「国産の材料で、地元の人がトロロアオイを使って手漉きで漉いたもの」となるのだろうなと。そこが限界だろうなと。だけど本当は多分、「口に入れても安全な紙」。それが和紙なんですよってやらないと一般の人には伝わらないんじゃないかって気がするんですよ。それじゃないとわからないだろうと思うんですよ。

そうそう。そうそう。

そうなってくると問題なのはトロロアオイの保存剤じゃないですか。それを使っている人には言わないですけど。

この話はタブー。

和紙業界ではタブー。


紙ってすごい繊細だから、みんなオープン、ホッとする

まだまだ。けど、紙を作る側じゃなくてお客さんの方から繋がっているから。それ大きく言えば自分の健康に敏感な人たちが敏感に反応しているけどね。グループが小さいけど。インテリアに使うものとか。あと、もうひとつはそういうような江戸時代の紙作り。江戸時代が一番良かったという話はあると思う。江戸時代の終わりが…、もうとちょっと私も勉強しなければいけないけど。江戸時代で生産が上がって質も良かった。で、その時代はもちろん薬は使ってないから。そのときの紙は本和紙と言っても良いかもしれないけどほとんど作られていない。日本では。うちと何軒か、若い子達が冬の間だけ漉いている。ポツリポツリ全国にいると思う。それを言ったら全部駄目だから。

でも何が良いのだかわからないから、みんな好きにしたら良いけど(笑)

組合を通してとか、お店さんとかだとみんな話は終わりだからタブーになっているけど。うちはもう直接だから。健康だけでなく、環境保全に繋がっていくからね。あとうちは無肥料。そこまで行っちゃって(笑)だから化学肥料はうちは一回も使ったことない。普通は化学肥料やるところが沢山ある。いろんな問題が出てくる。

うちはいま無肥料でやりましょう、て。そこから。無肥料って大変ですよ。

三椏も無肥料で。

それも無肥料です。

ここ三椏がもともと産地だったのは、土地にあっていたということなんですか?

多分始まったのは130年前とか、明治に入ってすぐ。全国でお札用として進められてだと思うけど、山を切り開いて何年も何年も三椏を栽培すると病気もはやったね。それだけ長い間に作りすぎちゃって。始めは良かった。山を伐採して炭を焼いて、あと残りは焼く。その灰で消毒されて植えて良かったけど、何年も何年もやったら……。三椏は病気が付くから。それがあって、あとは戦後にドンドン、遠い地域からはいらなくなった。国の政策も変わってスギ・ヒノキを植えましょうってなって、ちょうど病気にもなって完璧に入れ替えられた。

完全に消えて。

完全に消えて、いま復活させようと。

三椏の皮を剥ぐ作業

ロギールさん自体で、地元の人たちと。

そうですね。みんなで。今年も4000本位、地域で植えようかて。いま、1500本位しか植えていないけどね。少しずつ。ものすごい量を作って50町歩とか作ったら、かなりの収入にもなるけど、そこまでいまのところないから。

それに学校での紙漉きと同じように、それを使って色んな地域のことも考える紙として。地球の森とか紙の問題も考えるとか。水のこととかも考えるとか。そういうことが、いま一番いま求められていると思うね。上手く行けば何年後かに50町歩やりましょうとかになるかもしれないけどね。

まずは、そういう三椏の栽培を通して色んな勉強とか、感じてもらって。お客さんも見て感じてもらうとか。自分の生活をちょっと見直してとか。そういう色々な、、、

紙ってすごい繊細だから、みんなオープン、ホッとするとか。ちょっとリラックスができて。そこで色々と自分の生活も、いまの生活とかも人間の生き方とか気が付くところあるから。そういうことができるのが和紙ね。そういう力を持っていると思う。これから役割として和紙は、そういうことかな。そういう何か将来に向けて、何か貢献できるものと思いますね。そう感じる和紙を作りたい(笑)自然を何かね。そこで職人のただの和紙なのか……。書いた文章のメッセージ性とかがある和紙じゃなくて、その和紙を持って。。。もしかしたらゴミがいっぱい入っている、もしかしたら真っ白いかもしれない。