和紙スイーツ:倉美紀 ~笑顔の広がる和紙スイーツの世界~

笑顔の広がる和紙スイーツの世界(1/2)

和紙を使ってお菓子を表現されている倉美紀さん。見ているだけで美味しそうなその作品は、見ている人から自然と笑顔が零れます。その繊細で優しい表現をされている倉さん自身もお客さんの反応から幸せをいただいていたようです。 (平成23年1月28日)

自分が一番作りたい表現をしてくれる材料が和紙だった。

倉さんの和紙スイーツというのは、和紙で何かを作るということではなくて、やっぱり元々はお菓子作りが一番最初だったんですか?

はい。

何歳ぐらいからお菓子作りをされていたんですか?

お菓子作りは母が好きでしたから、本当に物心ついた頃から手作りのお菓子がまわりにありました。
それで小学生の頃から、見よう見真似で作っていましたね。
上手か下手かではなくて、焼くといい匂いがして、皆がニコニコして、お菓子っていいな・・・というのが入口でした。
材料も器具も身近にあったので、お菓子作りは難しいとかそういうことは全くなく自然に作っていました。
本当にお茶を飲むような感じで、お菓子作りは普段の生活の中にありましたね。

それがまずお菓子作りのひとつの方向性としてあって、それとまた和紙というのがあったんですか?

まずはお菓子が大前提にあって。
20代の頃からは、お菓子が好きというのと、色と紙が好きという二つがずっと並行してありましたね。

その後、お菓子作りを習った際に、そのお菓子がとても美味しくて教室も楽しくて、先生にお礼状を出したいと思いました。そのハガキを何か手作りでと思った時に、家にあった色画用紙でそのケーキを貼り絵のようにしたのが、紙で形にした一番最初だったんです。
その時は洋紙で平面的でしたから、和紙とは無縁でしたね。

紙でケーキの表現を続けていった時に、お菓子のふんわり感を出したいな・・・と思い、綿を入れて包もうと考えました。が、洋紙だと硬くて包めない。
いろいろな紙で試しているうちに、和紙って曲面も包んでくれるし、シワも味がある。
表面が温かくて、手作りケーキの温かなイメージととても近いな・・・と。
いきなり全部和紙に代わっていったのではなくて、何年かかかって和紙を使うようになったんです。
紙が好きで、色が好きで、いろいろ触っているうちに一番作りたい表現をしてくれる材料が和紙だった。和紙に辿り着いたという感じですね。作りたい作品があって和紙があった。
使うほどに和紙の素晴らしさに触れ、今は作品を通して和紙の魅力も伝えられたら良いなと思っています。


作品「ケーキな街」

作品「ケーキな街」


この黄色と茶色のグラデーションがホットケーキみたい

和紙の作家さんって、色々といらっしゃるわけですよ。そういった方のひとつの特徴というのが、もともと和紙が好きでその表現を様々な形で始めているというのが多いですけど、倉さんの場合は、いろいろとやっているうちに、あっ、和紙があったって感じだったんですかね?

そうですね・・・気づいたら和紙を選んでいたという感じでしょうか。
洋紙、和紙に関わらず、例えばこれは模様が綺麗だからとか、グラデーションが綺麗だからとかで選んでいくうちに和紙に触れていって・・・。
お菓子の焼き色は一色ではなく、ここは少し焦げ目があるとか微妙な色合いなんですよね。
和紙は一枚にグラデーションがあるので、焼き色を一枚で表現してくれる紙でもあるんです。

特に典具帖紙は、グラデーションが綺麗。
そうそう、これなんかは・・・私この典具帖紙を見た時に「ホットケーキみたい!」って思ったんです。


典具帖紙

典具帖紙

そういわれると本当にホットケーキの焼き色そのままですね(笑)

そうなんです!
例えば赤の落水紙は苺のよう。白い落水紙に緑の濃淡は、かき氷のメロンシロップのよう。
和紙屋さんにいると、そんな風に感じて購入することもよくあります。

和紙は一枚ずつ微妙に色が違う。和紙との出会いも一期一会だと思うのです。
私は自分で和紙に色を付けたりしないので、一枚の和紙はそれを作った人の作品かなと思います。
出来た和紙を受け取って、それを自分で広げたいという気持ちでしょうか・・・。

だから最初から、自分自身がこれを作ろうと思って染めてっということではなく。

はい。そうではなく。

色々な形でたまたま出会った一期一会の和紙との間で、もしかしたらこの和紙ってこういった形で使ったら喜ぶんじゃないか。和紙自体がこういう風に使って欲しいという声を聞いていくという。

そこまで行けると良いのですけど(笑)

作品展前に集中して作っていると、「この和紙はどうなりたいんだろう・・・。」とふと思います。
ちょっと変な言い方かも知れませんが、和紙が喜んでくれるような形にして作品におさめたいという想いに駆られることもあります。

わかります。わかります。

この和紙、たまたま私に買われてきたけれども、本当にここに来て良かったのかな・・・と。
和紙が生きているわけではないのですけれど。

やっぱりモノにも心あるんでしょうね(笑)

和紙1枚1枚にも職人さんが心をこめて漉いているし、染めるときにも色々こうすれば良いんじゃないか、ああすれば良いんじゃないかって皆さん考えながらやっているわけじゃないですか。そういったのがやはり魂、心が入っているのでしょうね。何らかの形で。それを聞いていくというのが一番重要なのかもしれないですね。

そうですね。