梼原和紙:ロギール・アウテンボーガルト

紙ってすごい繊細だから、みんなオープン、ホッとする (3/3)

オランダ出身のロギールさん。高知でも特に寒い地域である梼原で伝統的な和紙作りと旅館かみこやを運営されています。今の和紙作りが抱えている問題、それとともに自然保全とは何なのか。非常に示唆の多いインタビューです。  (取材日:平成23年2月7日)

学校での紙漉き体験 時間を取って、スロー・エデュケイション

ロギールさんのいま作られている和紙というのは、お客さんというのはどういった方々なんですか?

もう、本当に様々。

用途としては?

用途としては、いま取り掛かっているのは襖紙。

そうすると結構大きいもの?

今度は1枚のものもあるけど。3枚に分けてそれを変化を付けたい。あとは建築家のこれも襖紙で。ちょっと高級感のある特殊な、一緒に考えているもの。襖紙ちょっと多いね。あと灯り。個人の灯りを作って欲しいとか、便箋。

便箋というと少なくなってきているじゃないですか。その中で便箋。

そう。それはやっぱりもったいないじゃないか、パソコンの時代に。やっぱりそれでも便箋が欲しい人もいるんじゃないかってプロデュースしているところ。それもこだわりの便箋とか。あと県の方で使っている証書とか。もう色々(笑)

皮を剥いた後の楮

ここの子供たちがやっている紙漉き体験。全国的に見ても、、、。他の県を見ても材料から作るところって少しずつ出てきているんで特別に珍しくはなくなってきているのかなと思ってはいるんですけど、全国を見てもロギールさんのところで特に珍しいのが一点あるんですよ。卒業江証書作りで三椏を使っている(笑)かなり珍しいですよね。他はほとんどが楮ですもの。

そうね。うちも少しは楮を混ぜているけど。そうね、それはもうそういう地域だから。それはもう。三椏は本当に珍しいので何ヶ所も残ってないから日本で。

三椏は三椏なりの繊細な部分があるわけじゃないですか。それを自分自身の証書で作れるって他のところから見ると(笑)

ちょっとカッコイイね。紙関係の人からするとモッタイナイっ!て(笑)モッタイナイけどそれしかない(笑)うちは三椏と楮しか原料ないから使ってるけど(笑)

みんなで三椏作ってるし。良くできるねー。グランドの周りの日当たりのないようなところに植えている。ムッチャクチャできるんですよ。不思議。子供の声で育ててるのかなぁ、て笑って言うけど。もしかしたら本当にそうなのかなって。もうありえないようなところに植えてガンガン芽が出て、枯れる気配ないですよ。もう15~16年くらい植えているけど。

そうすると最初から三椏で?

いや、始めたのが18年前だから途中から三椏もやりましょうって。1年生が種を取って、2年生が撒いて、3年生が苗を植えて。それは15年前からやりだしたから。途中でドンドン、これもやろう、これもやろうって。

それが全部、複合的に体験することで、自然というのがどういう風にあるのか、大切なのかというのが。いつの間にか紙を通して感じ取れるようになっている。

そうね。子供たちは、学校の校長先生もこれは凄い。これはカリキュラムに入れて、きちんと位置づけした方が良いとやって。そこからやっぱり、これはそんなにしつこく教科書なんか開けなくても、自然に私たちは6年で毎年紙のことをやっている。もう当たり前。一番良い教育じゃない。こういうもんだって(笑)証書は楮・三椏なんだって感じでね。

スロー・エデュケイション、ていう話をこの前してた。ゆっくり。早くとかじゃなくて時間を取って。そういうことを……。

例えばクラブ活動とかNPOが色々な催し物をやるとかは素晴らしい。良いけど学校が一番良いと思う。やるのには。カリキュラムに入れて。そういうものは学校はやるべきじゃないですか。実は。

その点、この梼原は津野山神楽などもあってそういったものを受け入れる雰囲気が残っているのでしょうね。

楮を干す作業

そのスロー・エデュケイションというのはその通りだと思いますね。早く覚えたものは早く忘れる。

そうだねー。

やっぱりゆっくり学んだものって長く覚えているんですよね。1回覚えて忘れることって重要だと思うんですよ。

うんうん。

一回忘れるけど、もう一回触れたときに余計にワンランクアップするというか。

トロロアオイの話になるけど、1年生にそれを見せるね。1年生はまだ使わないようにして見せるだけ。えぇ~っ、何~っ、これ面白い~って。

それで1年後、「先生!あれはないっ?」って言い出して。「あれっ?あれってなに?」って(笑)これかよって出すと、そう!そう!そう!って。紙漉きはまずそこから。去年は何やってた?って。何かトントン、トントンやってたとか。1年生2年生は間ほとんどやらないから。3年生、4年生になったら少しずつ間に準備の手伝いをするからちょっと繋がってくるけど。1年生2年生は何も。

けれどそこでポンッ!ポンッ!それでわかった!って。

それがずっとやってきたわけじゃないから、その年々でまた新しく発見して新鮮なんでしょうね。

うんうん。そういうことは学校でないとできない。

ですよね。本当に。

今度はここ、統合するから学校。中学と一緒に。今度はどうしようかって。今度は新たに中学にも関わってもらって、シンプルにして。原料作りを本当に一から始めようかって。ここは町も森作りをやってるので。それで紙の原料作りを本当にどういうことなのか。どうやろうかって。これからは基本のものをやろうと思ってるけどね。


梼原和紙 : ロギール・アウテンボーガルト
http://www.youtube.com/watch?v=9dUMKbxAhYo

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