黒谷和紙:ハタノワタル ~紙フェチの国ですよ。だから潜在能力はすごいあるんですよ。~

紙フェチの国ですよ。だから潜在能力はすごいあるんですよ。 (4/4)

黒谷和紙の若手の代表の一人として枠に留まらない活躍をされているハタノワタルさん。若手の新しい視点がこれからの和紙の展開のひとつのヒントとしてなる部分もあるのかと思います。「日本は紙フェチ」との言葉はある意味納得。説得力のある言葉でした。

黒谷和紙の技術を使った中で表現の重みの方が表現の深み

実のことを言うとハタノさんからゴリゴリの職人さんが言うような言葉を言ってくるとは思っていなかったんですよ。

ああ、職人ですもの(笑)ただやっぱりアーティストに使いところの職人でありたいっていうか。

その繋ぎ役っていないじゃないですか。そこですよね。それじゃ僕かやるしかないっていうか。だってアート好きやし(笑)エエもん作りたい人にエエもんを与えたいというのは職人ですよね。それがなしにハイ納品しましたね、終わりですっていうので、その先知りませんっていうのはやっぱり気持ち悪いし、作っている意味がわからなくなってくる。

和紙の作家さんというのもいるわけじゃないですか。本当の和紙の職人さんの一番厳しいところっていうのは、同じ厚さのものをずーっとキチンと作り続ける技術ていうのが一番大変ですよね。だけど和紙の作家さんはその部分は全く必要ない。

職人さんのところの視点からでないと出てこない言葉というのが絶対あると思うんですよ。それが先ほど仰った機械と手の違いの壁という言葉がそのひとつなのかなと。これだったら実際、機械のほうが良いんじゃないかって言葉って、逆に手仕事の仕事を突き詰めていないと出てこない言葉のはずなんで。

それ聞いたとき、私はハタノさんの場合は職人的なところではなくアートのところばっかりやっているのかなってどっちかというと思っていたんで(笑)特にネット関係で表に出てくるところってそういった感じである程度PRしている部分があるじゃないですか。そっちのほうかなって。

ネットで表現するのは表現で。例えば和紙のことを表現するじゃないですか。今日は水が冷たい。でも綺麗な和紙が漉けますとか言ったところで誰もわからへん。使いたい人がキレイな紙ってそれを渡されて、苦労して作ったんですよって。使えないじゃないですか。ユーザーは気軽に使いたいじゃないですか。それは値段関係ないと思うんですよ。安心して使いたいっていうから素材というものを買うわけじゃないですか。ほんじゃ、苦労していますっていうのを売りにするというのは、売りというかそこばっかり言った所でお客さんとの接点が見えないですよね。そことここの部分を埋める人っていうのがいなくなっているんじゃないかなって。で、埋める部分を僕がやりましょうっていうのが今やっている活動。

だから「創る和紙職人」なんです。創ることがメチャメチャ好きな和紙職人ですっていうのがその創ることもできるし、和紙を漉くこともできるし、このちょうど間の部分を一番弱いところですよ。そこを痛感していますものね。売りに行ってもお客さんは爺さん婆さんばっかり。若い人は誰もいない。若い人が来て、これはこうやってこうやって使えるのよって。そんな使い方できるのって言われたときに、じゃあ君何を使っていたのって(笑)

私、日本画書いているんですー♪って。これ何の紙ですかって。楮紙ですって。使ったことあるやろって言うと、ありませんって。何でて言うと「いや学校で売っている全然違う紙使ってますーっ」て言われると、えっ、、、て(笑)じゃあ、楮をこうやって使ってみると良いんとちゃうって言ったり。

ハタノワタル

つまりお客さんの人たちが、使うための取っ掛かり自体すらないのが今の状況ですよね。これを1から10まで全部教えて、こうやって使うんだよってことではなく、最終的にはあなたが使ってくださいと。だけれども、こういう風な使い方もできる。こういった使い方もできるしというヒントを与える仕事ってことなんですかね。

そうそうそう。結局そこでやっていくしかしょうがないていうか。和紙屋さんの否定をするわけじゃないけど、和紙屋さんは流通に乗せたいからていうので割と安価なお土産物とかが並んでいるわけ。便箋も安い方が良いんで。結局、500円以内、ワンコインで買える様な便箋とかになってくると手漉きじゃなくて機械漉きのちょっと可愛いプリントのしたものになっているというのが現状と思うんです。そんじゃそこに自分の便箋とか持っていっても、全く動かないけど、こういった使い方できていますよっていうのを、こういう魅力もありますよって伝えたいというか。

こういう手漉きっていうのは、どちらかというとお爺さんたちの世界のもの、紙ってイメージがすごいあって。じゃなくてもっと若い人もこういった使い方ができますよってことをアピールしたいというか。

新しい使い方のチャンネルを提示していく。

それを誰かがやらなくちゃいけないし。じゃ、やりましょうって。なんでかというとその辺が好きなんですね。表現する。 良いものを見つけると人に紹介したくなる(笑)根っからの表現者ていうかね。自分のこと、自分では表現者って言っているし。その紙の世界というのを上っ面 だけ拾って表現するんじゃなくて、やっぱりどっぷり浸かって、昔から続く黒谷和紙の世界の中で表現していくということは、必然的に深みがついてくると思うし。それを軽 やかに表現しようとすることでもっと需要というのが増えるんじゃないかなって。


紙フェチの国ですよ。だから潜在能力はすごいあるんですよ。

今までの路線じゃなくて、新しいチャンネルを作って、そのチャンネルの中でもどういう風に動くことができるかというの を、提案していくというのが今一番重要なんだと思うんですよね。結局、今作っている人たちは自分たちが作ることばっかりに意識が行っていて。新しいものを 常に見つけていくていくというフレッシュさというのが忘れないのが一番大切なのでしょうね。

時代というのは流れるわけやし、そこで和紙が良い素材だと言えなくなるんであれば、別に和紙をやる必要もね。

時代を遡ると意外と伝統と呼ばれているものが最近のものであったり、それ以前を調べたら全然違う形で使われていたりとか、そういったことって結構多いんですよね。基本ラインは保つべきなんでしょうけど表面に出てくる部分、形として出てくる部分、結果の部分はその時代に即した形でどんどん変わって行って良いのだと思うんですよね。

それがこれから和紙が残っていく一番重要なポイントなのかなぁと。

そうですね。日本人、紙メッチャ好きなんで。ハッキリ言って、メチャクチャ好きですよね(笑)紙コレクターがメチャクチャ多い(笑)何すんのて言ったら、タンスの中が紙だらけになっててって(笑)おかしんじゃないかなって思うほど紙フェチが多くって。その紙フェチのための何か新素材の紙とか。

TAKEOさんてあるやないですか。あそこなんか、、。世界であんな店あるんですか?

どうなんですかね。

紙がまるでDJかっ!て言わんばかりになってガァーッ!てあって(笑)1回行って「うわぁーっ、これ日本やな!」て思ったんですよ。

こんな量の紙があって、手漉き和紙もこれぐらいのコーナーがあったんですけど。この1/100%もない世界ですよ。手漉きは。ここで何か面白いことをやっても良いかなって思ったり。そうしたらあの中からみんな探しているわけやし。面白いものが出てくるんちゃうんかなって思ったりするんですけれど。

そこに合わせる、残念ながら手漉きっていうのは、これだけは絶対に越えられない壁なんだなっていうのはコストの問題ですよね。それに見合うコストの魅力を持つことは、どこに付加価値っていうのがあるんかなっていうのを感じるところやし。そうなったら防腐剤を使わない紙であったりとか、そっちというのは考えていかないといけないし。

紙フェチの国ですよ。だから潜在能力はすごいあるんですよ。


黒谷和紙 : 創る和紙職人 ハタノワタル
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