和紙販売:紙処ますたけ(静岡・静岡市)

その和紙に似合った使い方をしてあげれば、すべて上手く (1/4)

静岡市で代々和紙屋さんをされている“ますたけ”さん。和紙小物の販売と共にマンツーマンに近い形での和紙教室も開催されています。「紙の声が聞こえる」という言葉を仰っていましたが、小さいときからずっと和紙が身近にあったからこそなのでしょう。  (取材日:平成23年2月3日)

その和紙に似合った使い方をしてあげれば、すべて上手く

“ますたけ”さんは、もともと紙だけじゃなくて、それ以外のものもされていたんですか。

ずっと紙。私の祖父がここで始めて。その前があって、前身はもっと古い紙屋で紙づくしですよ。紙の前は農業かな?ってところみたいなんだけれど、とにかく古いですね。本家から。

もう明治から、それ以前から。

その当時からやっていましたね。うちのお爺ちゃんが本家の次男で生まれたんですね。男の子2人だけだったんだけれど、当時はうちの家訓だったのか、弟はお兄ちゃんの商売をしてはいけないって。それで出て行くって。出て行くに当たって、お兄ちゃんと同じ商売をやってはいけないから、うちは小間紙だったんです、本家が。ちり紙とかそういう卸で。それで、うちのお爺ちゃんは、じぁあお兄ちゃんがやっていない襖紙をやろうって東京に修行に行ったみたいですね。それで起こした。ちょうど10分ぐらい先に本家があったんですけれど、本家は先に駄目になりましたけどね。

それが始まりで。

そうです。それでおじいちゃんには沢山子供いたんだけれど、真ん中辺にいた母が家を継いで。それは厳しい状況の中、切り盛りしてきたみたいです。

先だってお話いただいたときに、表具関係が結構強かったて聞きましたけど。

強かったて言うのは、当時需要があったということですよね。

襖紙とか障子紙とか。

そう。県外からもお求めになる方もいて。やっているところが少なかったというか、取り揃えているところなかったんじゃないですか。うちの品揃えすごかったらしいですから。それで重要もあったから、父も母も一生懸命に揃えるわけで。

それがベースになって今に。

そうですね。本当に紙って時代の流れと共に変わってきてますよね。

昔は、障子紙とか襖紙というのが中心だったのが、それが今、だいぶなくなってきて。どちらかというとステーショナリーの方に光が当たってきている部分はありますよね。

私は子供の頃は、妹とふたり、女兄弟なんだけどものすごく忙しいわけですよ。父と母が。もう、夕飯の支度をしてもまた仕事に行っちゃう。本当にそういうのを見てて、相手にしてもらえないわけじゃないですか。だけど見えるところにいたいわけでしょ。結局、ここにあったんだけど、紙屋とか倉庫とか。すごく広く感じたのだけれど、妹とそこで何をしているかていうと、レースペーパーとか色々入っているわけですよ。箱のレース紙まで売っていたんですよ。昔のお菓子の箱ってレースが付いていたんですよ。それも箱屋さんに卸していて、綺麗なレースがいっぱいあるわけですよ。それを持ってウェイトレスさんごっこをやったり。紙はどんなに使っても怒られなかったから、お札を作ってお店屋さんごっこをやったりとか。遊び道具は本当に自然と紙でしたね。

店舗外観

それがもう、小さいときから紙がずーっと身近に。

それでもう「いらっしゃいませ、ありがとうございました」の声をずっと聞いているから、遊びも母の真似をしてお店屋さんごっこになっちゃうんですね。

“ますたけ”さんのブログなんか拝見していて、これすごい言葉を言っているなと思ったのが、紙が実際にお客さんに渡るときに、紙が本当に行きたがっているかどうか。紙の声を聞くということを書いていてすごいなぁと。

それは私のエゴで、独りよがりなんだけど、ありますよね。確かに。

実際、聞こえるのかどうかわからないのかもしれないけど、何か訴えてきているのかなと。

そこは教室で伝えたいですよね。紙の扱いってどうやって扱ったってきれいなものができれば良いのだけれども、私の立場から言うと、紙があって物が作れるのだから、紙のことをもう少し理解してあげて作ると、それだけで自然に寄り添うものができてくる。簡単なことなんですよ。ですから和紙のもの扱う教室の時にはほんのちょっとで良いから、紙の性質とかを教えてあげれば全然違うのに、知らないんですよね。教える側が。パルプも和紙も知らない。自分がコストに合った用意したものをただ使って。ひどくすると、これしか使っちゃ駄目って。これにはこの紙しか向かないって言い方をされる方も多々あるんですよね。接していて。

それはそれで良いやと思いながらも、そういう気持ちじゃなさそうな人にそれを説明するのにはすごいエネルギーを使うんですよ。その先生の言ったことを悪く取らないように、こういう考え方も和紙にはあってって。それじゃなくても全ての和紙が使えるんだよって。よく言うことが先生が教えてくれた紙、先生が最初に教えてくれた紙がベストなんです、その人にとって。それで違う紙をうちで勧めると、硬い、柔らかい、厚い、薄いって始まるんですね。

と、簡単に言いますよ。その和紙に似合った貼り方をしてって。その和紙が悪いんじゃないから、その和紙がキレイになるような貼り方が必ずあるから。安いのが悪いのじゃない。高いから良いのじゃない。それぞれにみんな顔があるから、その顔に似合った使い方をしてあげれば、すべて上手くいくって。

それが和紙の声を聞く。

そう。それは口伝えじゃ無理なんですね。1回で良いからうちの教室に来てもらうと、みんな、う~んと言ってくれるの。