和紙販売:紙匠 雅(東京・立川) ~一家に1枚じゃないけど、色んな使い方があるんだから~

一家に1枚じゃないけど、色んな使い方があるんだから~ (1/3)

立川で小口の和紙職人さんの紙も多数販売されている“紙匠 雅”さん。これだけバリエーションを取り揃えているお店は東京でも稀です。毎月、紙漉き体験などのイベントを開催されています。  (取材日:平成22年12月14日)

自分の紙がどうやって売られているのか見て欲しいよね。

雅さんは最初はどのような形でお店を始められたのですか?

最初は“書く”ということから始まったけれど、今では最終的に“インテリア”的なものに行かないとの感じは持っていて。ただうちみたいに書道用品をやっている店がインテリアにどういう風に入っていくかというのが微妙なところで(笑)

一番最初は完全に書道用品のみ?

書道用品店に長く勤めていたから、書道のことは知っているけれど、ただその中で紙っていうのがね興味あったわけ。紙=和紙だなって言って、和紙を置けば良いのだろうって簡単な気持ちだったね。そうしたらやってみたらこれは難しかったね。それでどうしても分からないから産地に行くしかないって事で行き始めたのが……。で、行くと背広にネクタイというわけには行かないので、こういうような格好にだんだんとなっていって。

職人さんのところに行くときに紋付袴のような格好で行っても何が来たんだと(笑)

ちょっとねぇ。買わせてくださいって言ってもねぇ。最初はそんな感じで行ったの(笑)

ざっくばらんに、フランクな形で行ったほうが……、

そうですね。ネクタイを外して、家族、女房を連れて話をして。そういう形から始まったんだけれど、なかなか最近は運転がきつくて(笑)

紙匠雅さんの一番の特徴というのが全国の小さな職人さんをたくさん扱っているのが特徴だと思うんですけれど、それってやっぱり直接行かれていたんですか?

全部は行っていないね。結局、色々な雑誌とか見て「この人の紙を置きたい」と。電話とかファックスとかね。後は東京に来たときに会ったとか。

逆にもう向こうが直接東京に来たときにちょっと顔を出してというのが多くなってきた。

そうですね。だけど顔を出す人は少ないね(笑)

意外と(笑)

意外と。自分の紙がどうやって売られているんだろうって本当は見て欲しいよね。

あぁ、それはありますよね。実際漉くだけではなく、それがユーザーのところにどういう風に手に渡っているのかというところまで解ってくると……。

本当はそうしてくると作るほうももっと面白いことが出てくるんじゃないのかな。

店舗外観

それはあるんでしょうね。意外と、自分自身がこれだけ作ったから、それをどういう風に使ってくれるのか。相手任せになっているだけではなくて、相手側からの要望というのが具体的に行っていうのもひとつの選択なのでしょうね。

そうですよね。自分の紙がどこで売られているのか分からないと言う人もいたもんね。

それが実際かなり多いですよね。

それよりもやはりね、自分の紙がどういうようなルートで流れて、使われて。どういったものを作ったら売れるのかとかね。そこまでやっていけば良いのだろうけど。問屋さんがあるからしょうがないところがあるのかもしれんね。

やっぱり問屋さんが。そうすると問屋さんは最初から通さずに直接職人さんに、

ですね。どうしても問屋さんを通してのところもあるんだけれどね。何ヶ所かは間を介して取っているけれど、作っている人はそんなの分からないからね(笑)

うちのものがこんなところで売っているよと、びっくりしてしまうということなのでしょうね。


ポケットにどんどん詰めて。一杯になったらみんなに分けてやる。

しかし、雅さんのように幅広く職人さんの和紙を集めるとなると仕入れとかは大変ですよね。

それで一回取ったからって、そこのものがずっと継続してやんない場合もあるし。一回きりのお付き合いというのもね。結局、何十人かの紙を置いてても平均的に売るというのは難しいなぁと。やっぱり売れる紙というのはね、お客さんとの縁がなければ売れないし。

そうするとやっぱりこれだけたくさんバリエーションを持っていて、書家さんなんかが色々試してみてそういった紙に付く人たちがいるって感じなんですか。

そうですね。書道の人でも「これに書いてみたい」って紙は大体決まったような人になる。書が生きるような紙にね。ただ白くていい紙だからっていうんではないんだよね。

どちらかというとそういった形で固定ファンが各和紙に付いてくるのが雅さんでは多いんですか。

書くだけではないみたいね。千切ったり貼ったり、色々と加工するので。だからどういうものを置いたら良いっていうのもこちらもわかんない部分もあるよね。

お客さんの好みがばらけてしまって。

そうそう。そういう風に求めている人はもの凄くいるのでしょうね。

もうバリエーションがドンドン増えてしまって、在庫ばっかり増えてしまって(笑)

そうなっちゃ困るんで、ちゃんと見えるところに飾んなきゃならないから、こっちの好みでやる場合もある、職人さんの熱意で置く場合もあるし。中には写メールで「こういったのできました」って送ってくる人もいるし。そうするとそういったものは置いてみたりするし。あと、ブログなんか見て「おっ、これは面白そうだ」ってときは電話したりしてやってはいるけれどね。野球よりも難しいね。打率ということだと(笑)

イチローぐらいまで行ったらもう(笑)

蔵までは立たないけどこの蟻地獄から抜けられるかもしれん(笑)そういう感じだよね。

書道の方がもともと固定客として付いていたから和紙に展開していったときにもどんどんお客さんからの反応が良かったというのがあるんですね。

固定というかね、ここをやったときはゼロと一緒ですよね。

そうなんですか。

もともとのお客さんというのは前の会社で勤めたときのお客さんはいても、やっぱり規模が違うんで。やっぱり看板で買うんですよ。

店主: 吉田徳雄

看板とそのお店の方の顔。

だからうちは買ってもらうためのあれはしないし、ただ的確て言うか分からないけどアドバイスをしてやっているから。時には一緒になって考えることもあるわね。この紙一枚、どうやって使うんだろうって。お客さんの考えを聞いて「あぁ、良いですね」って。

逆にそのお客さんからの意見というのが、そのあとの色々なヒントになったり。

なってます、なってます。それで「そんな使い方があるの!?」ってこっちが分かって、今度次のお客さんにちょこっとそのさわりを伝えて、

引き出しになるんですね。自分の。

ポケットにどんどん詰めて。一杯になったらみんなに分けてやる。そういうことをやっていかないとこういう小さい店はね、駄目なんじゃないかって。