八尾和紙: 桂樹舎 ~全部手作りで一貫生産 ニーズに対して柔軟に対応できる~

八尾和紙: 桂樹舎 ~全部手作りで一貫生産 ニーズに対して柔軟に対応できる~ (2/3)

通常の和紙漉きだけでなく型染めや加工品も手がけている桂樹舎さん。和紙漉き元はどうしても和紙を漉くことだけに留まってしまうことが多いですが、桂樹舎さんの強みは、加工から全部手作りで一貫生産しているところ。「民藝」の芹沢銈介先生との関わりも含めお話をお伺いしました。

型染めから加工品まで うちの親父は民藝畑の人間だから、

うちは親父の代からやっているしね。

型染めとかですね。

型染めもやっているけど、その前は色紙がはじめというか、そこからやりだしたわけだ。そして京都とか紙問屋さんへ卸せるようになって。それから型染めというのをやりだして。型染めをやりだしたから、できた紙を何か加工しましょうということで加工品ができてきたと。うちの親父は民藝畑の人間だから、卸し先は最初は民芸店に卸していたわけですよ。で、やってきて最近では民芸店ばかりじゃ駄目だろうということで、いろんなところに商品を置いてもらうような動きはしている。

やっぱり民芸のお店へ商品を置いたり販売するというのが主体となっている。

そう主体です。

いま確かお作りになっている鯉のぼりとかもそういったところへ。

そうですそうです。

富山全般で鯉のぼりを売っている形になるんですか?それとも全国的に?

どっちかというと全国的に。数の多い少ないはあるけれども。富山だけだと少ないですよ。

そうなんですか。やっぱり、あれも型染めから。

そうそう。

和紙民芸品

型染めというのはどういったやり方になっていくんですか?基本的には。

基本的には渋紙というのを柿渋を塗って。あれに下絵というか模様を書くわけです。別の紙に書いて渋紙に貼っても良いのだけれど。書いたのに小刀で要らない部分というか、色を染めたくない部分というのが模様に中には必ず出てくるから、そこを小刀で切り取っていくわけですよ。

染めたくない部分を。

うん。色をつけたくない部分を。

そこを切っていく。

うん、切っていくわけ。切り落としたら、今度は紗貼りと言って絹の紗があって、それを止めるわけね。それに今度、出来上がったら紙の上に置いて、餅粉と米糠をミックスしたものをある程度水で柔らかくしてヘラでしごいていくわけ。そうすると切り取ったところに糊というのが付くわけ。そこは染めたくないわけですよ。で、渋紙を取るでしょ。そうすると糊の模様が結局できているわけよ。で、糊を乾かしてから、そこに色を付けていくわけです。糊以外のところに色を付けていく。出来上がったら糊を洗い落とすわけです。で、水の中に30分浸けとくと餅米の粉と米糠がふやけてくるわけです。で、それを洗い流すと。

そうするとそれを乾かすと出来上がるわけです。模様ができて。

なるほどなるほど。それはどれぐらい前からなんですか?

うちでやりだしたのは昭和35年ぐらいからだから50年近くですね。

そのころから八尾和紙さんとしてはトレードマークとして。

最初は民芸誌というかね。色紙とかが主だったんだけれど。いまはその両方をやっているから。二本柱でやっている。

二本柱で。まずは手漉きで和紙を作ってから、そのあとに染めると。

そうそう。

それを最終的に工芸品としてまとめていくというのが一番の強みというか。一貫してやれるというのが。

そうそう。


全部手作りで一貫生産 ニーズに対して柔軟に対応できる

意外と通常だと、和紙は和紙、染めは染め、加工は加工という形で全部バラバラになっているじゃないですか。そうするとお客さんからすると、こういったものを作りたいんだけれどということになったら、それにかなり柔軟に対応できるというのが強みとしてある。

そう。そういう面では強みだわね。ただ、あとデザイン力が要るけれどね。やる方のね(笑)

ああ、それは辛いですね(笑)

そう(笑)

だからそういう面では手漉きで紙を漉いて、模様を染めて加工もするって。それをひとつの会社の中でやっているから、ちょっと珍しいよね。

そうですよね。

デザインとかフォトショップとかでやるんですか?

昔から手で書いて。

基本は手でやって。パソコンとかでデータを使うこともできると。

使ったりする場合もあるけれどね。

それでいうと、例えばお客さんの方でデザインをやりたいという人がいたとして。こういったのをやって欲しいんだけど、パソコンのデータか何かで送ってきたらそれを。

それはそれで型を作って染めると。

そうするとお客さんの方でも、いままでの工芸品みたいなものではなくても、全く新しい形でのいろいろな色を使った工芸品ではなく「和」の雰囲気を感じさせる何か商品を作りたいということだと、かなり柔軟に対応できる。

できるできる。

昔はパソコンはないから結局こういうもの、こういう模様で作りたいんだと言っても、型紙を作らなきゃいけないわけですよ。全部手で掘らなきゃいけない。そうすると頼む人が掘るわけじゃないから、こちらに下書きか何か原版を送られて、それをこっちで切り取ったりするから、こっちの今度は意思が入っているわけよね。そうすると頼む人と違ったものができる可能性もあるわけです。

じゃなくて今はパソコンとかができたから向こうの人が注文した人がやりたい、最終的な物ができるようになった。

最初からデータで最終的なこれが欲しいんだと言ってもらえるから、作る方としてもすごくやりやすくなった。

やりやすくなってくる。

そういうのが最近、たまに出てきているね。

そうですか。年々少しずつ増えてきている感じなんですか?

というか最近、インターナショナル・ギフト・ショーとか見本市とか出展したりしていると、いままでとは違うお客さんが見に来られたりして。うちの品物を見て、こういうものができないかとかの話が持ってこられるわけ。

それで言うと、和紙というものとは全く関係のなかった人たちが、和風のテイストを取り入れた全く新しいグッズを作ってみたいとかだったら、その最終的なグッズのイメージを「こんなものできるかな?」と直接、八尾和紙さんに送ってくれたらできますよーと。

できる場合と、できない場合はあるから。なるべくできるようにはしたいと思うんだけど。先日もバレンタインのチョコレートを包む紙を作ってくれないかと。デザインは自分のところでやるからやってくれないかと。寸法とかがわかればすぐにできるからやりますよと。

和紙箱

手漉きの紙で、それをやれるところって本当にここぐらいですよね。

他にあんまりないと思いますよ。

機械漉きならいろいろと施設を持っているところはあるのでしょうけど。それ実際に手で染める、型染めで。それは珍しいですよね。

それがひとつうちの特徴なんだろうと思いますよね。

そうすると全部手作りで一貫生産して、お客さんのニーズに対してかなり柔軟に対応できるというのがやはり一番強みということですね。

そうそう。

意外とありそうでないですよね。

そうそう。

ほとんどの和紙の産地は、自分のところで紙を漉いてそれで終わっちゃっているのが多いですものね。それにプラスアルファで印刷までやり始める会社というのは多いけれども、それも機械漉きだったり、それを加工するにしてもせいぜい便箋とかそれぐらいなのに、こっちでは細かな工芸品のところまで。

うん。内職さんとかに頼む。箱なんかは箱屋さんに頼む。

その大枠の形を作るところまでは、、

全部うちでやる。こっちでデザイン、この箱なんかでも寸法とか全部こっちで出して。

箱なんかは最初はすぐ近くで。箱屋さんがあってね。八尾のお菓子とかいろいろ箱を作っていた。そこが結局、ご主人が亡くなったりしてできなくなって、はてはてどうすっかなと。いろいろと箱屋さんを探して。やり方が違うんですよ、うちのやり方と。そうするとなかなか抵抗があったりしてね。一軒見つかったんだけれどそこは非常に丁寧に仕事してくれてね。